卓上型真空プラズマ処理装置

卓上型真空プラズマ処理装置 SL-0600
Bench-top Plasma Cleaner

プラズマ放電にさらすことで、従来の洗浄方法では難しかった表面汚染物質の除去が可能です。また、セラミック・プラスチック・PDMS など多くの材質処理にも使用できます。洗浄以外にも、ポリマーへの薄膜形成、表面接着力強化、細胞培養の前処理などあらゆる試料のプラズマ処理に対応します。
※導電体(金属)への使用は不可
商品情報
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低価格でコンパクト、実験・研究・開発にも適しています。
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ベンチトップ式で、ラボ利用や研究開発に最適なサイズです。
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自動制御機能で操作も簡便です。
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STARTスイッチを押すだけで、簡単に操作可能です。
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タイマー設定でプラズマ処理ができます。
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PDMS・生体材料などのクリーニング、表面改質、細胞培養の接着強化、滅菌等多くの用途にご使用いただけます。
仕様
カタログ
真空プラズマ処理装置とは

真空プラズマ処理装置は、真空チャンバー内でガスに高周波電力を加えてプラズマを生成し、材料表面をナノレベルで改質する装置です。大気圧ではなく真空環境で処理するため、再現性が高く、精密な表面クリーニングや表面活性化が可能です。
真空プラズマ処理装置の使用用途
細胞培養の前処理
プラスチック、PDMS、ガラスなどの細胞培養基材表面にプラズマ処理を施すと、親水性が高まります。これにより、細胞の接着性向上、溶媒の濡れ性改善、マイクロ流路への培地の充填性向上などが得られます。
PDMS・生体材料のクリーニング
PDMS表面は疎水性であるため、微細加工後の表面に残る未反応成分や汚染物を除去することで、バイオチップやマイクロ流体デバイスとの接着準備を整えます。
ポリマーへの薄膜形成(プラズマ重合)
プラズマ処理によって薄いポリマー膜(プラズマポリマー膜)を形成できます。疎水化・親水化、バリア性付与、化学的耐性の向上など材料特性の制御に利用されます。
表面接着力の強化
プラズマ処理により表面の官能基導入、微細粗面化(エッチング)によって接着剤やコーティングの密着性が大きく向上します。医療用デバイス、樹脂部品、電子部品の接着工程で多く利用されています。
表面改質
親水化、親油化、帯電制御、摩擦低減など、材料特性を表面だけ選択的に大きく変えることができます。基材内部には影響を与えず、ナノレベルの薄い領域だけを改質できる点が利点です。
真空プラズマ処理装置の基本原理
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チャンバーを減圧する
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高周波またはマイクロ波を加えてプラズマを生成する
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プラズマ中のイオン、ラジカル、紫外線が材料表面に作用し、官能基導入やエッチングが起こる
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処理後、親水性・接着性・清浄度などが改善される
真空プラズマ処理装置の活用例
真空プラズマ処理装置は、細胞培養用素材の前処理から、マイクロ流体チップの作製、PDMSの接着、材料表面の改質まで、幅広い研究・開発工程で利用されています。
細胞培養での活用
プラスチック、ガラス、PDMS などの培養基材は、そのままでは細胞が十分に接着しない、濡れ性が低いといった課題があります。真空プラズマ処理を行うことで、短時間で親水性を大きく向上させることができます。
主な効果
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細胞接着性の向上
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培地・溶液の均一な広がり
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コーティング剤や細胞外マトリクス(コラーゲン等)の吸着効率改善
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再現性の高い培養環境の確立
研究室では、iPS細胞、初代細胞、幹細胞、がん細胞など、接着性が求められる多くの細胞種で前処理として利用されています。
マイクロ流体チップ作製での活用
マイクロ流体デバイスは、溶液の流れや細胞配置を精密に制御するため、流路内部の濡れ性と清浄度が重要です。真空プラズマ処理では、微細な流路内部まで表面を均一に親水化でき、初期充填の不具合や気泡混入を抑えることができます。
主な効果
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流路内部の濡れ性向上(バブル発生の抑制)
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親水化による安定した流体制御
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表面の汚染物除去(微粒子・未反応材など)
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PDMSチップとの接合準備(表面活性化)
マイクロ流体オーガノイド培養、薬剤スクリーニング、シングルセル解析など、精密制御が求められるアプリケーションで特に有効です。
PDMS同士、またはPDMSとガラスの接着
PDMSは疎水性が高く、そのままではガラスや他のPDMS層と強固に接着しにくい材料です。プラズマ処理によって相手基材との共有結合形成が可能になります。
主な効果
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PDMS–PDMS、PDMS–ガラス間の強固な常温接着
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マイクロ流体デバイスの耐圧性向上
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接着剤を使わないクリーンな結合
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接着面の再現性向上
PDMSデバイスの封止工程では、最も広く使われている標準的な方法のひとつです。
材料表面改質(ポリマー・生体材料・電子材料など)
プラズマ処理は、表面のみを選択的に改質できるため、材料のバルク特性を変えずに必要な機能を付与できます。
主な効果
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親水化・親油化
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表面の微細エッチング
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コーティングや接着剤の密着性向上
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表面の清浄化(有機汚染除去)
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表面エネルギー制御
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薄膜形成(プラズマ重合)
医療材料、樹脂成形品、分析デバイス、電子部品など、多様な材料に対して活用されています。
真空プラズマ処理装置が選ばれる理由
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真空環境で均一なプラズマ処理が可能
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表面以外にダメージを与えない
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再現性が高く、実験・製造に適した標準的手法
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薬品洗浄の代替としてクリーンで安全
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数十秒~数分の短時間で効果を得られる
真空プラズマ処理装置の使用目的
真空プラズマ処理装置は、材料表面の性質を短時間で大きく変えるために使用されます。細胞培養、マイクロ流体デバイス、医療材料、樹脂加工、電子材料など、多くの研究・製造現場で「安定した表面状態」を得るための標準的な前処理として活用されています。
表面の清浄化(汚染除去)
真空下で生成されるプラズマは、有機物や微細な汚れを分解・除去します。薬品洗浄を使わずに表面をクリーンにできる前処理方法です。
目的例
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PDMS、ガラス、プラスチック基材の表面汚れ除去
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電子部品や樹脂成形品の洗浄
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分析デバイスのバックグラウンド低減
親水性の向上(濡れ性改善)
プラズマ処理により素材表面の濡れ性が大きく向上します。液体が均一に広がるため、細胞培養やマイクロ流路で特に重要です。
目的例
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細胞の初期接着性を改善
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培地や溶液が均一に広がる環境の整備
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マイクロ流体チップ内部のバブル抑制
接着性の改善(表面活性化)
プラズマによって表面の化学構造やエネルギーが変化し、接着剤・コーティング剤の密着性が大幅に向上します。
目的例
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樹脂部品の接着強化
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医療材料のコーティング密着性向上
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分析用デバイスの機械的安定性の改善
材料同士の強固な接着(PDMS・ガラスなど)
特にPDMSはプラズマ処理を行うと、ガラスやPDMS同士が強固に接着できるようになります。マイクロ流体デバイスでは必須のプロセスです。
目的例
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PDMS–ガラスの常温接着
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PDMS–PDMSチップの封止
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マイクロ流路の耐圧性向上
表面改質(機能付与)
表面の特性を変え、機能を付与することも重要な目的です。
目的例
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親水化・親油化などの濡れ性制御
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微細エッチングによる表面粗面化
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表面帯電の調整
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生体反応性の向上
薄膜形成(プラズマ重合)
プラズマ処理によって均一な薄膜を表面に形成できます。
目的例
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バリア性・耐薬品性の向上
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表面保護膜の形成
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生体材料への機能性付与
真空プラズマ処理装置を使用する目的は大きく分けると次の通りです。
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表面をクリーンにする
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親水性を高める
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接着性を向上させる
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PDMSやガラスを強固に接着させる
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材料表面を機能的に改質する
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薄膜(コーティング)を形成する
これらの目的は、細胞培養・マイクロ流体工学・材料工学・医療機器開発など、さまざまな分野で必須の工程となっています。
真空プラズマ処理装置を使用するメリット
真空プラズマ処理は、表面処理の中でも特に「短時間で効果が出る」「再現性が高い」「薬品を使わずクリーン」という点で優れており、研究・製造の現場で標準的な前処理方法として広く利用されています。
数十秒〜数分で処理できる高い効率性
真空プラズマ処理は、短い処理時間で親水化・清浄化・接着性向上など複数の効果を得られます。
研究工程のスピードが向上し、作業の待ち時間を大幅に削減できます。
表面だけを選択的に改質できる
プラズマは表面数ナノメートルにのみ作用するため、素材全体の物性には影響を与えず、必要な部分だけを改質できます。
基材の強度、光学特性、柔軟性を損なうことなく処理できる点が大きな利点です。
薬品を使用しないクリーンな処理
酸や溶剤を使わないため、廃液処理の手間もありません。
環境負荷が低く、操作も安全です。
親水性・接着性の大幅な向上
プラズマを照射すると、濡れ性が飛躍的に改善され接着性が増します。
メリット例
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細胞の初期接着が安定
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マイクロ流路の溶液充填がスムーズ
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樹脂・ガラスとの密着性向上
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コーティングの剥離抑制
PDMSやガラスの強固な常温接着が可能
真空プラズマ処理は、PDMS–ガラス、PDMS–PDMS の強固な接着を可能にする唯一の標準的手法です。
マイクロ流体デバイスの封止に必須の工程です。
表面の清浄度を高められる
プラズマに含まれるラジカルが有機汚染物を分解し、材料表面をクリーンな状態にします。
細胞培養や分析デバイスではバックグラウンド低減に寄与します。
多様な材料に適用できる
プラスチック、ガラス、PDMS、生体材料など幅広い基材に対応できます。
対応例
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樹脂成形品
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マイクロ流体デバイス
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医療材料
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センサー・デバイス
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生体材料、ポリマー薄膜
研究工程や製造工程の標準化に貢献
薬品処理や手作業に依存しないため、「誰が行っても同じ表面状態」が得られます。
研究の再現性、製造の品質安定性を高める重要なメリットです。
真空プラズマ処理の主要なメリット
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短時間で高い処理効果が得られる
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表面のみ選択的に改質できる
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均一で再現性の高い処理
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薬品不要で安全・クリーン
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親水性・接着性の大幅な向上
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PDMSとガラスの強固な接着が可能
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表面清浄化で実験精度が向上
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多様な素材に対応
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研究・製造の工程を標準化できる
真空プラズマ処理装置の活用分野
真空プラズマ処理装置は、材料の表面性質を精密にコントロールできるため、研究分野から産業分野まで幅広い用途で利用されています。
